写真を学ぶ第一歩。自然光ってなに?光が強すぎる時はどうすればいいの?【CURBON写真用語辞典 #16】

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旅行先で素敵な写真が撮れたら、休日に訪れたカフェでケーキのおいしそうな写真が撮れたら、子どものかわいい写真が撮れたら…とカメラを買ってみたものの、なかなか思い通りの写真が撮れないとやきもきするもの。感じたままに写真を撮るのももちろん大切ですが、ちょっとしたコツを覚えるだけで写真がワンランクアップ!今回は「自然光」について解説します。スマホで撮影するときもぜひ参考にしてみてくださいね。

 

自然光って何?

自然光とは、太陽の光や月の光のことを指します。時間帯や天候で明るさや色が変動するため、自在にコントロールできないというデメリットはあるものの、上手に生かすことで写真をより印象的に仕上げることができます。プロの現場でも朝焼けや夕暮れのタイミングを狙う「陽待ち」があるほどで、時にはどんな照明機材にも勝てないほど素晴らしい条件が整うことも。光の向きに関する解説はこちらでも。

 

ストロボなどの人工的な光と自然光は何が違うの?

主に太陽の光を駆使して撮影する自然光撮影に対し、ストロボなどの人工的な光を使って撮影することにはどんな違いがあるのでしょうか。

一番の大きな違いは拡散率といえるでしょう。自然光は太陽という大きな光源から作り出されるため、全体をしっかりと明るく照らしてくれますが、照明機材は大きさに限りがあります。写すものが小さければ全体に光を回すことができますが、範囲が大きくなればなるほど自然光のような光を作り出すのは難易度が高まります。「ライトマン」と呼ばれる照明技師の仕事があるほどです。

人工的な光を使うメリットは?

人工的な光を使うメリットは、天候に関係なくいろんなシチュエーションの光を作り出すことができることです。アニメの世界のような特別なライティングの場合は誰でもひと目で「ライティングしているんだな」と分かりますが、ドラマや映画の現場ではよく、夜中でもセットの中に昼間の光を再現して撮影をしています。時間帯の再現だけでなく、光で季節感を再現をすることもできるので、真冬に真夏の光を作り出して後で背景を合成しているパターンも多くあります。

人工的な光を使うデメリットは?

人工的な光を使うデメリットは、費用や再現性、手間や機動性などが挙げられます。照明機材はプチプライスのものからプロ仕様のものまでさまざまありますが、いずれも使うには費用がかかります。また、カメラ据え付けでないものならばスタンドが必要になりますし、時には何人もで運ばないと動かせないほど大きく重い照明機材も。照明機材を据え付けたらすぐに思い通りの光になるわけでもないので、狙った光になるまで調整が必要になります。

 

自然光を使うメリットは?

自然光を活用するメリットは、簡潔にまとめると以下のようなものが挙げられます。

  1. 特別な照明機材が必要ないので、お金をかけず撮影できる。
  2. 天候、季節、時間帯によって変わる光を楽しめる。
  3. ライトマンのように特別な知識がなくても簡単にイメージ撮影ができる

自然光を活用するデメリットは?

自然光を活用するデメリットは、下記のようなものが挙げられます。

  1. 別日に同じ場所、同じ時間に撮影しても全く同じ光にならない
  2. 白背景などで撮影すると、意図しないところに影が出てしまうのでECサイト出品用の場合は注意が必要。
  3. 晴れを想定した撮影の場合は、雨が降ると撮影ができなくなる
  4. 雲の状態で刻々と状況が変化するため、時間との戦いになることもある。

光が強すぎるときはどうすればいいの?

光が強すぎるときはどのように対処していますか?自然光をうまく生かすために、プロの現場ではさまざまな道具を使っています。その一部を紹介します。

シーツやカポック

プロの現場ではよく、シーツや「カポック」と呼ばれる白い板を使うことがあります。影が暗く落ちているところに光を補うためにシーツを垂らしたり、カポックを立てて光を反射させることで足りない光を補完しています。実際にこのテクニックを活用したい場合は、シーツは持ち歩くのは大変ですので、白いハンカチや白い服などでも代用可能です。本格的なカポックは3×6サイズ(90×180)など多くは大型になりますが、段ボールに白い紙を貼ったり、ハンズやロフトなどで手に入るスチレンボードで代用することができます。まずはテーブルフォトなどでその効果を試してみるといいかと思います。

▽参考リール

レフ板

シーツやカポックと同じように、光を反射させるための道具です。ロケでは丸型のサークルレフや組み立てると板のようになるロールレフなどが便利です。日差しが強いときのバストアップ撮影などは、サークルレフで被写体に影を落とすことで明暗差を減らすというテクニックにも使えるので、ロケ撮影には欠かせないアイテムのひとつです。

レースカーテン

室内で撮影する場合に、光が強すぎる場合はレースカーテンで光の量を調節することができます。直射日光が強すぎると感じる場合はレースカーテンを引いてみましょう。光の強さが和らぐことで陰影が弱まり、優しい印象になります。プロの現場でも実際にレースカーテンを使ったり、「紗幕」と呼ばれる透過率の高い布で光を柔らかくしています。

トレーシングペーパー

ここからはちょっと上級編。プロの現場では幅の広いトレーシングペーパーで光を拡散させることもあります。110cm、180、210cmなど幅はさまざまで、照明の前に垂らしたり、照明自体に貼り付けるなどして使用します。照明用のアンブレラにトレーシングペーパーをつけることは「カサトレ」などと呼びます。

アートレ

アートレとは、トレーシングペーパーをプラスチック製にしたような撮影機材です。アートレを用いることで強い光を和らげることができます。トレーシングペーパーのように幅広なので、垂らして使ったり、窓に貼って使ったりと用途はさまざまです。トレーシングペーパーよりも高価ではありますが、繰り返し使うことができるのがメリットです。こちらもストロボのライトにつけて、光を拡散させるために使うこともできます。



上級編!ストロボで自然光のような光を作る方法は?

ストロボとスタンドををお持ちの方にぜひ試してほしいのが、自然光のような光を作り出すシンプルなライティング。簡単に試せる2つのライティングを紹介します。 

・高い位置にストロボをセットして、被写体に向けて当てる

スタンド、もしくは手持ちでなるべく高い位置にライトをセットして被写体に当てることで夏の日差しのような強い印象の写真を撮ることができます。影が強すぎる場合はライトと反対側に白い布など、光を反射させるものを持ってくると光が和らいでバランスが取りやすくなります。反対に、もっと強い印象にしたければ、ストロボと反対側に黒い布や黒い紙を貼った板などを持ってくることで、締まった印象にすることができます。ストロボの位置で影の出方が大きく変わるので、位置を見ながら調整してみてくださいね。ライトと被写体の間に葉っぱなどを差し込むと木漏れ日のような印象にすることもできます。

▽参考e-learning動画・サンプル動画

>>e-learning動画詳細ページはこちら 

・ストロボを壁に向けて、反射した光が被写体に当たるよう調整する

撮影場所の壁が白ければ、ストロボを壁に向けて発光することで、窓から差し込む柔らかな光を再現することができます。被写体が壁から近いと影が強くなるので、光が届く範囲で被写体を離すように心がけましょう。こちらも光が回りすぎている場合は、光源とは逆側に黒い布や板などを設置することで締まった印象にすることができます。壁が白色以外の場合はその色を拾ってしまい、写真の仕上がりに影響が出るので白い紙を貼ったり、布を用意するなどして対処するのがベターです。

 

自然光とうまく付き合おう

誰でも最初はただ撮るだけのところからスタートするもの。被写体の位置を変えてみたり、自分が動いたり、道具を使ったりすることで、さらに写真の精度を上げることができます。次の撮影にはまず、白いハンカチを一枚持っていくところから始めてみてはいかがでしょうか?ほんの一手間で写真が変わって、きっと写真がもっと楽しくなりますよ。

 

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