【写真に想い巡らす月 #3 】AKIPIN

 

6月1日は「写真の日」。日本で初めて写真が撮影された日です。

CURBONでは、そんな「写真の日」から始まる1ヶ月を、皆さんにとって改めて「写真に想い巡らす月」にしていただきたいと考え、特別な連載をお届けしています。

 

写真家4名に、「写真への想い」と大切な1枚をご紹介いただきます。

3人目は、「妻のごはん」を中心に日々の暮らしを発信されているAKIPINさんです。

 


 
『写真とは。カメラで写真を撮るということとは。』 

 

こんにちは。AKIPINと申します。
主に妻のごはんの写真を撮って、SNSに投稿したりして楽しんでいる40代前半の男です。

写真とは何か。
カメラで写真を撮るということはどういうことか。

「写真の日」ということで、あらためてそれをぼくなりの言葉にしてみたいと思います。

まず、写真とは何か。
それは、「その瞬間の味わいを後からも味わえるもの」だと思う。

5年前に撮った、台所で妻が料理している写真。
「うーわ、おいしそ!」とそのとき声を上げて喜んでたぼくの興奮と、しごとを時間内にぴったり完了させる戦隊ヒーローのような妻への安心感が、心に立ちのぼる。


 

3年前にだれかが撮ってくれた、仕事をがんばりすぎて心が倒れる2週間前のぼくの笑顔。
その時のしんどさが胸をかすめる。

うれしさもしんどさも、自分の人生の大事な気持ちで、ぼくという人間を作ってきた成分で。
味わえてよかったと心から思う。
写真がなかったら、その味わいを後からこうして味わい直して再確認することも、簡単じゃなかったかもしれない。

そんな、写真というものがある世界で。
「眼で撮れたらいいのに」って、ときどき思うことがある。

専用のコンタクトレンズを付けて、特殊な(でも簡単な)まばたきをすれば無音でスクリーンショットが撮れ、大容量でも保存できるようになったら。

娘が急にしたオモロい顔や、妻が庭で採れたラズベリーを急に見せてきた顔も、今みたいに撮り逃さなくてすむ。
「その瞬間の味わいを後からも味わえるもの」である写真を、いくらでも残すことができる。

でも。
そんなふうに撮れるようになったとき、家族を撮るという行為は、平常的な事務作業として埋もれてしまうのだろう。
スマホでスクリーンショットを撮ることのように。

そして、撮った写真を後で見たときの味わいも、今感じている濃さではないだろう。

何より、写真以前に、「いま目の前に現れた瞬間」の味わいが激減してしまうはずだ。
(ああ、この光景が消えてほしくない、消えてしまう、忘れたくない)という苦しい味わい。
生きるエネルギーに変わる、苦しくて尊い味わいが。

そんなことを考えて、改めて「カメラで写真を撮るということ」を思う。
いくら進化したといっても、電池を充電しないといけないし、SDカードの容量を空けとかないといけないし、そもそもカメラ自体を所有していて、それなりの近場に保管していて、そのとき手元に引き寄せてきて、構えて、適切な操作をしないといけない。
「眼で撮れる」と比べて、なんという手間!

でも、この手間がかかってるから、「カメラで写真を撮るということ」自体にも味わいを感じられるのだ。
(ああ、後からも味わいたいと感じる瞬間が、今ここにある)という心の揺れを、カメラで写真を撮るという行為にかえることで、「今ここ」その瞬間を全身で味わえているのだと思う。

そしてそんな自分の姿は、レンズを向けた相手と、周りの人からも見られることになる。
隠し撮りじゃなければ、撮ってる姿はものすごく見えている。
それって、レンズを向けた相手に対する大なり小なりの心の揺れを、"公開告白"してるのだと思う。
その揺れは相手に伝わり、周りにも知られ、 いろんな感情とともに共有されていく。
人と人との理解が深まって、新たな味わいが生まれていく。

「写真」が「その瞬間の味わいを後からも味わえるもの」ならば。
「カメラで写真を撮るということ」を言葉にするなら、「その瞬間を後からも味わいたいと思った今ここの瞬間自体を味わうこと」だ。
なが!
自分でも忘れそう!

まあ、そんなことを好き勝手に考えたり考えなかったりしながら。
それぞれの写真ライフ、楽しんでいきましょう。

 

 


 

 PHOTOGRAPHER PROFILE



AKIPIN

教育機関職員。Instagramをベースに、”妻のごはん”を中心とした暮らしの思いを写真と言葉で表現する。2020年、フォトエッセイ本『日日是好日』(北京联合出版)を中国で出版。


Instagram:@akipinnote
Twitter:@akipinnote

  


【連載記事】

[ #1 ]【写真に想い巡らす月 #1 】川原和之

[ #2 ]【写真に想い巡らす月 #2 】山本勇夢 

[ #4 ] 【写真に想い巡らす月 #4 】古性のち

 


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