透き通る青を閉じ込めて|写真家・彩が贈るLightroomプリセット『Transblue Collection』
2025.08.01
CURBON PRESET LETTERS|彩
CURBONのプリセットから広がる、アーティストたちの“写真と言葉”に触れる新シリーズ「CURBON PRESET LETTERS」。
プリセットは、ただのフィルターではありません。それは、シャッターの先にある“まなざし”や“心の色”を分け合う、ひとつの手紙のようなもの。どんな瞬間にレンズを向けたのか。どんな色に心が動いたのか。そんな感覚を誰かと共有できるのが、プリセットの魅力です。
このシリーズでは、写真への想い、創作のルーツ、日常のひらめきを丁寧にひもといていきます。
第1回は、初のプリセットをリリースした写真家・彩さん。彼女が見つめる世界を、そっと覗いてみませんか?
❋❋❋
はじめに
こんにちは、写真家の彩です。
青と透明感を愛し、14歳でカメラに出会ってから、“光に導かれるように” 写真を撮り続けてきました。
撮っているものは、ポートレート・風景・植物・小物などさまざまですが、根っこにあるのはいつも、澄んだ「青」と、やさしい光への憧れです。
このたび、そんな私の「青の世界」を閉じ込めたLightroomプリセット「Transblue Collection」が完成しました。
青という、希望の色
一般的には、青に「寂しさ」や「孤独」のイメージを重ねる人もいるかもしれません。でも、私にとっての青は、むしろその逆です。
私が好きな「青」は、どこまでも澄みきって、光をはらんだ爽やかな水色の青。空気みたいに軽く、どこかやさしさをまとっている。
気持ちがうまく言葉にならないとき。日々に疲れて、ただ空を見上げていたあの時間。
空のグラデーション、水面のきらめき、雨上がりの静けさ。“撮りたい”と心が動く瞬間には、いつも青がありました。
Transblue Collection「soraoto」使用
この青が、誰かの日々にも寄り添えたら。
「この色味が好き」「こんなふうに撮ってみたい」「彩さんの世界観が好きです」
そんな言葉をいただくたびに、この青を、私だけのものにしておくのではなく、誰かの光や記憶にも寄り添えたら、と思うようになりました。
時間とともに移ろう空気や光に寄り添い、それぞれの青を美しく引き出せるプリセットを──
そんな想いから生まれたのがLightroomプリセット『Transblue Collection』です。
Transblue Collection「soraoto」使用
空の色と、気持ちの温度。3つのプリセットに込めた想い
『Transblue Collection』には、朝・昼・夕方という時間帯の「青」を美しく映し出す3つのプリセットを収録しています。単に色味を整えるだけでなく、「そのとき感じた空気」や「心の動き」まで写真に宿せるように──。普段使っているプリセットをベースに、どなたでも使いやすいよう試行錯誤を重ねました。
◯ mizuiro morning(朝の青)
朝のやさしい光に溶け込むような水色の青。「mizuiro morning」は、目覚めたばかりの世界をふんわり包み込むようなプリセットです。
ポートレート・植物・テーブルフォトなど、柔らかくやさしい印象に仕上げたいシーンにぴったり。晴れの日はもちろん、曇りの日でも使いやすいです。
朝の弱い光は、写真にするとくすんだり、青がにごったりしてしまうことも多いですが、光が柔らかい朝の時間帯や、逆光気味のシーンでも、やさしさと透明感のあるトーンに仕上がるように調整しています。
実は昼や夜のシーンでも自然に馴染み、幅広く使える万能プリセットでもあります。
【プリセット調整例】
Transblue Collection「mizuiro morning」適用後、露光量 -0.25, 白レベル -24
◯ soraoto(昼の青)
青空を見上げて、「ああ、今日もがんばろう」って、そんなふうに思えた日のこと、ありませんか?
soraotoは、まさにそんな昼の空を切り取ったようなプリセット。太陽の光が強くても、空の青や白い雲を濁らせず、すっきり爽やかに保ちます。
旅先の風景、海や山、広がりのあるシーンで特におすすめです。私は島旅に行くときは必ずこのプリセットを使っています。
空や光の色が強いシーンでも、澄んだブルーを保ちながら軽やかに仕上げられるので、空の青と海の青が綺麗に浮かびあがる、まさに”記憶の中”を再現するようなプリセット。
【プリセット調整例】
Transblue Collection「soraoto」適用後、露光量 +0.27, 色かぶり補正 +12
Transblue Collection「soraoto」適用後、露光量 -0.18, ハイライト -12
◯ tasogare(夕方の青)
夕方になると、空は少しだけ切なく、でもすごく美しくなる。光が少しずつ沈んで、でも完全に夜になる前のあの時間。私は写真を撮り始めてから、その時間が好きになりました。
tasogareは、赤くなりすぎないように、くすまないように、澄んだ青を残しながら、夜のはじまりを描けるように調整しています。
マジックアワーやブルーアワーなど、夕焼けに青が溶け込むような時間帯におすすめです。夕焼けをアニメのワンシーンのようなエモーショナルな雰囲気で表現することができます。夕方のポートレートや、街の明かりが灯る直前の風景などに。「今日という一日が、すこし愛おしくなるような青」を目指しました。
プリセット適用後、写真に合わせて、ハイライト・白レベルを調節すると、夕焼けに馴染む青がほどよく浮かび上がってきます。また、お好みで色かぶり補正を調節していただくと、理想の夕焼けの表現に近づけます。
【プリセット調整例】
Transblue Collection「tasogare」適用後、ハイライト +24
私にとって「青」は、ただの色じゃありません。心が動いた瞬間そのものであり、光に触れた時間の記録でもあります。
だからこそ、この3つのプリセットも、単なる編集ツールではなく、小さな物語のような存在になればいいなと思っています。
“プリセットは完成形じゃない”──青の物語を、あなたの手で続けてください
「プリセットって、上級者向けなのかな?」
そう思っていた方にも、ぜひ使ってみてほしいです。
Lightroomプリセットは、写真を美しく整えるためのツール。でも私は、“完成形”を押しつけるものではなく、「写真を育てていく入り口」だと思っています。
光の強さ、空気の色、撮影したときの気持ち──同じプリセットを使っても、写し出される「青」は、一人ひとり違って当然です。
だから『Transblue Collection』も、「使って終わり」ではなく、「ここから始まるプリセット」を目指しました。
少しだけ露出を変えてみる。ホワイトバランスを調整して、自分だけの青を探してみる。今日の気分に合わせてコントラストをやわらかくしてみる──
そんなふうに、自分の手で少しずつ触れていく中で、あなたらしい“青の写真”がきっと見つかっていくと思います。
小さな調整で、あなただけの青に出会えるように
たとえば、プリセットを適用後、こんな調整を加えてみてください。
・露出(明るさ):少し明るくして、ふんわりとした透明感を出すのが私の定番です。
・ホワイトバランス:温かさをプラスしたい日は、少しだけ黄色寄りに。クールにしたいときは青寄りに。・ハイライト / 白レベル:空や水面の光をやわらかく調整できます。逆光のときにもおすすめ。青が白飛びせず浮かび上がってくるように、ハイライト/白レベルは下げるのがおすすめ。
・色かぶり補正:夕焼けや曇り空の時は、ピンクやグリーンのかぶりを微調整するだけで印象がガラッと変わります。記憶の中のような少しノスタルジーな感じにしたい時はグリーン寄りに、アニメのワンシーンのようなドラマチックな雰囲気にしたい時はピンク寄りに。
実際、私自身も毎回プリセットを当てて終わりにせず、その日の空気感や気分に合わせて、少しずつ調整しています。
左:「soraoto」適用しただけでぴったりだった!右:「soraoto」適用後、ハイライト -35, シャドウ+16, 色かぶり補正 +1 , 自然な彩度 +11
プリセットは、あなたの写真に寄り添い、その人だけの光や記憶を引き出す「余白」のような存在であってほしい。
この青が、あなたの日々にそっと寄り添い、写真を撮る時間そのもの”がもっと好きになるきっかけになれば、うれしいです。
もし心の中に「青への憧れ」があるなら、あなたの世界にも、ぜひこの透明な青を迎えてみてください。
彩 Lightroom プリセット 「Transblue Collection」