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日本で撮った写真に、Opriscoさんのプリセットを使ってみた!

【写真に想い巡らす月 #4 】古性のち

【写真に想い巡らす月 #4 】古性のち

2022.06.22
  6月1日は「写真の日」。日本で初めて写真が撮影された日です。 CURBONでは、そんな「写真の日」から始まる1ヶ月を、皆さんにとって改めて「写真に想い巡らす月」にしていただきたいと考え、特別な連載をお届けしています。   写真家4名に、「写真への想い」と大切な1枚をご紹介いただきます。 4人目は、「写真とことば」をSNSなどで発信されている古性のちさんです。     『生きるためにシャッターを切るのではなく、きっと生きてるからシャッターを切るのだね、わたしは。』      普段SNSでうつくしい日本の言葉や季語を、写真と共に時折アップしている。今回この「写真への想い」の企画オファーを受けたとき、わたしはきっとそういう「いつものやつ」を出すべきなのだと頭では理解していたのだけれど、メインディッシュではなくサイドメニューの、それも隅っこに小さく書かれすぎてお客さんにも気づかれず、月に1回か2回しかオーダーが入らないような立ち位置の写真を出してしまった。とびきり”映え”でもノスタルジックでも、オシャレに構図も決まりきっていない中途半端すぎるこの写真は、むかし私が一緒に暮らしていた人と休日にフルーツサンドを作っている写真です。「ああ〜〜あの時の1枚だなあ〜」と場面はすぐに思い出せはするものの、あんなにも宝物のように見返してはふふふ、と2人で肩をくっ付けて微笑みあった1枚が、今では甘酸っぱくもなければ、ぎゅっと胸が締まるわけでもない。甘くもなければ匂いもせず、無味無臭になってしまった。苺たちは今でもこんなにもぷりぷり可愛らしく美味しそうなのにね。昔から好きなものがたくさんある。というか私のストレングスファインダーの1位が収集心なので「わたしが好きだと感じるもの」を嗅ぎ分けて集めるのが得意なのだと思う。三度の飯より猫のお腹にダイブしてお腹をハムハムするのが好きだし、寝る前ゆったりインドのお香を焚くのも大好き。夏が来る直前のもやっとした暖かい空気も好きだし、たまに家で作るルッコラとじゃがいものサラダだって大好物。そういう「特別好きなものたち」は、例え自分の中のベクトルが向かなくなっても、好きだった時の匂いは滅多なことではなくならない。冷凍保存というか、そのまま鮮度を保ち続けている感じがする。そう考えると「元恋人との思い出写真」は振れ幅がすごい。宝物から急降下、二度と見たくないものに変わったりもするし、ぽいっとゴミ箱に捨ててしまっても、捨てたことさえも忘れてしまえるくらいに興味が消滅したりする。かつて宝物だったものたちの死体や残骸が私のiPhoneや外付けHD、そしてSNSにも有象無象に積み上げられている。毒にも薬にもならないそれらはきっと完全にいらないものではなく、私がきちんと前に進んでいる証拠なのだと思う。生きてきた証ってやつだ。とにかく写真は面白い。その時の場面を保存するけれど、気持ちは必ずしも冷凍保存されない。動画よりも余白があって不親切。でもそこを何かで補填してしまうと、急に色が褪せる。その不完全さがたまらない。中途半端で完成には程遠い、自分自身にもよく似ていると思う。私はこれからも愛しい時間も哀しい時間も、できるだけ記録していくのだと思う。そして時折振り返っては、無味無臭だなあとか、いやこれはまだ味がするなあとか、食事を楽しむように振り返るのだと思う。写真を撮ることは私にとって生きることそのもの。この命が続く限り、きっとわたしは収集のため、保存のため、生きた証のために。そして別に、そんな小難しいことは考えなくとも。生きているからこそ、シャッターを切るのだと思います。        PHOTOGRAPHER PROFILE 古性 のち1989年横浜生まれ、岡山県在住の写真家。 飾らない日々をドラマチックに表現することが得意。共著に「Instagramあたらしい商品写真のレシピ」。2022年春に単著発売予定。愛機はFUJIFILM X-T3・Nikon Z 6II。Instagram:@nocci_tripTwitter:@nocci_84    【連載記事】 [ #1 ]【写真に想い巡らす月 #1 】川原和之 [ #2 ]【写真に想い巡らす月 #2 】山本勇夢  [ #3 ]【写真に想い巡らす月 #3 】AKIPIN      特別連載「写真に想い巡らす月」、いかがでしたか? 皆さんそれぞれの「どうして写真を撮るのか」、「大切なものを写真に残す意味」。そんなことを立ち止まって考える機会となれば嬉しいです。 お読みいただき、ありがとうございました!     〈「CURBON+」をご存知ですか? 〉 CURBON+とは、サブスク型のあたらしい写真の学び場です。会員登録をしていただくと、写真教室やe-learning動画、トークショーなどが参加・視聴し放題!写真についての知識・技術を多方面から身につけることができます。>> CURBON+ について詳しくみる  
写真家がおすすめしたいもの6選:madoka uchimura

写真家がおすすめしたいもの6選:madoka uchimura

2022.06.20
  写真家が選ぶ「もの」を通して、新たな出会いにつながってほしい。この連載では、写真家があなたにおすすめしたい「もの」を紹介。写真家の愛用アイテムを通して、誰かと素敵なものとの新しい出会いを生む企画です。 1回目となる今回は、フォトグラファー・madoca uchimuraさんのおすすめしたいものを6つご紹介します。   * * *   1つめのおすすめは「AeroPress Go」   madoca uchimuraさんから、あなたへのおすすめコメント 誰でも簡単に美味しい珈琲を楽しめる器具。珈琲粉とお湯を入れてパドルでかき混ぜ、プランジャーでゆっくり圧力を加えながらプレスするだけ。コンパクトに収納できるので持ち運びも楽々。屋外でも美味しい珈琲が飲めちゃいます。   コーヒーの抽出方法といえば、ペーパードリップ、ネルドリップ、サイフォン、フレンチプレスなどはよく聞きますが、こちらの器具は「エアロプレス」という方法を使用。軽量な作りは持ち運びにもぴったりですね。 ▼公式サイト(英語)     2つめのおすすめは「CORKCICLE. STEMLESS」   madoca uchimuraさんから、あなたへのおすすめコメント 「自分たちが環境に対し何が出来るか、ペットボトルを買う人がマイボトルに持ち変えてくれたら」から始まったブランド。環境面だけでなく機能性も素晴らしく、温冷ともに1時間は温度をキープしてくれる優れもの。デスクワークが捗ります。   プラスチック製品を減らそうという取り組みで生まれたブランドは、地球に優しいだけではなくとってもおしゃれ。今回madoca uchimuraさんが撮影してくれたステムレスデザインのもの以外にも、タンブラーやボトルタイプのものもあり、色や柄の種類も豊富です。 ▼日本公式サイト      3つめのおすすめは「Anker Nano II 45W + Anker PowerLine III」   madoca uchimuraさんから、あなたへのおすすめコメント スマホもタブレット端末もノートPCも充電器はこれだけ。最大45W出力で急速充電に対応し、PCは約60分、スマホなら約30分で50%まで充電できます。お昼寝前に充電器に挿せば、起きた時にはもう満タン。はっきり言って世界が変わります。   チャージャーやモバイルバッテリーなどで有名なアンカー社が販売するPD 充電器の「Anker Nano II 45W」とケーブル「Anker PowerLine III」。朝起きて確認したら充電がない、なんて時にも、急速充電できるアイテムがあると心強いですよね。 ▼日本公式サイト   4つめのおすすめは「キングラインダーK6」   madoca uchimuraさんから、あなたへのおすすめコメント 珈琲豆を軽い力でほぼ均一に挽くことができるハンドミル。外部に調整ダイヤルが付いているので、細挽きから粗挽きまで簡単に粒度調整が可能。高級感もありインテリアとしても楽しい。1つめに紹介したtAeroPress Goと一緒に持ち出して、いつでもどこでも最高の珈琲を。   コーヒーをお家でいれる方の必須アイテムのミル。粉の状態だと空気と触れることで酸化が進んでしまうので、豆の状態から挽いてすぐいれるとおいしくいれられます。高級感ある見た目も素敵です。 ▼公式サイト    5つめのおすすめは「OPINEL #10」   madoca uchimuraさんから、あなたへのおすすめコメント アウトドアナイフとしてお馴染みのフランス製折りたたみナイフ。「わざわざ包丁使うのもな〜」みたいな調理の時にとても便利。ステンレス製なので錆にも強く扱いやすい。もちろんアウトドアシーンでも大活躍してくれています。お勧めは握りやすい大きさの#10。   フランスの老舗メーカーである「OPINEL」。キャンプやアウトドアで必須アイテムのナイフは、シンプルな作りでこだわりのあるものがいいですよね。刃渡りが#06(約73mm)から#12(約120mm)まであり、#10は約100mmです。 ▼公式サイト(英語)     6つめのおすすめは「IZIPIZI」   madoca uchimuraさんから、あなたへのおすすめコメント フランスはパリ発のアイウェアブランド。フレーム素材は丈夫で軽量なポリカーボネート製。マット加工で肌触りが良く、長時間かけていても疲れない。ラインナップが豊富なので、コーディネートに合わせて複数所持もアリかな〜とか。   機能性だけでなく見た目もかわいい「IZIPIZI(イジピジ)」。カラーバリエーションも豊富で、この夏大活躍しそうです。今回お写真でご紹介いただいたのはサングラスですが、PC用ブルーライトカットのメガネもあります。 ▼日本公式サイト   * * *   今回はmadoca uchimuraさんからのおすすめ6選をお伺いしました。気になるアイテムは見つかりましたか? この連載では引き続き、写真家のおすすめを紹介していきます。次回もお楽しみに!     ■Photographer madoca uchimura ▼Instagram▼Twitter 大阪在住の写真家。中判フィルムカメラを使って、独特の距離感で被写体を切り取るのが得意。「フタリノ」というシリーズで、恋人や夫婦、家族、友人同士などの何気ない瞬間を収めるということをテーマに撮影している。使用機材は、PENTAX67Ⅱ、PenFT。      〈「CURBON+」をご存知ですか? 〉 CURBON+とは、サブスク型のあたらしい写真の学び場です。会員登録をしていただくと、写真教室やe-learning動画、トークショーなどが参加・視聴し放題!写真についての知識・技術を多方面から身につけることができます。>> CURBON+ について詳しくみる    
7月のCURBON+ラインナップ

7月のCURBON+ラインナップ

2022.06.17
沖縄から本州にかけて、だんだんと梅雨入りしてきましたね。雨の間に晴れたと思ったら夏の日差しが降り注ぐ、過酷な季節になりました。   さて、本記事では「CURBON+で開催する教室、先の予定が知りたい!」というお声にお応えし、現在予定している7月の予定をお伝えします!   現在受付中の教室   ■CURBON MEET|フィルム写真の秘訣 [ CURBON初ゲスト ] 日時:7月2日(土)19:00-20:30ゲスト:Fujikawa Hinano 他 ▼詳細とお申し込みはこちらから   ■自然光を活かしたスタイリングの秘訣を学ぼう [ 残席わずか ] 日時:7月3日(日)10:00-12:00講師:綾 ▼詳細とお申し込みはこちらから ■物語性を生み出すインスピレーション [ 残席限りあり・初の教室内容 ] 日時:7月9日(土)20:00-22:30講師:kanako ▼詳細とお申し込みはこちらから ■紫陽花の儚さを表現する編集 [ 初の教室内容 ] 日時:7月10日(日)19:30-21:30講師:宵月絃 ▼詳細とお申し込みはこちらから   ■CURBON MEET|もなみん 個性を出す文字入れの秘訣 [ 講評あり ] 日時:7月16日(土) 19:00-20:30講師:もなみん ▼詳細とお申し込みはこちらから その他、7月に予定している教室など ■zookomi (Twitter):風景写真教室 ■眠り猫 / 宮﨑 美咲 (miyazaki misaki) (Twitter):写真教室 ■CURBON Photo College|初級クラス vol.4 公開 ■オンライン写真展 ■CURBON+会員限定クーポン配布スタート and more... さらに、「CURBON RADIO」や6月からスタートした「サツオワトーク」など、7月もコンテンツ盛りだくさんでお届け予定です! ※上記は予告なく変更となることもあります。ご了承ください。     現在公開しているe-Learningと6月の教室 6月も折り返し。写真教室やスペシャルなトークショーなどもあります! ▼コンテンツ一覧で確認!     「CURBON+」とは 「CURBON+(カーボンプラス)」は、月額2,980円で「e-Learning動画」「写真教室」「その他動画・音声コンテンツ」などが学び放題になるサービスです。 CURBON+では業界最前線で活躍するプロを講師として起用しています。カメラを買ったばかりという初心者の方から、写真を仕事にしたいと考えている方まで、ジャンルも幅広く学んでいただけます。  また、年間プランでだけご覧いただけるコンテンツも! CURBON+の詳細はこちらからご覧ください!     7月も皆さんのご参加、心よりお待ちしております!  
Lightroomがついに動画編集に対応!動画もお気に入りのプリセットで彩ろう

Lightroomがついに動画編集に対応!動画もお気に入りのプリセットで彩ろう

2022.06.17
2022年6月15日に、AdobeがLightroomとLightroom Classicを含むフォト製品の最新アップデートを発表しました(Lightroom デスクトップ(バージョン 5.4)および Lightroom モバイル版(バージョン 7.4))。本記事では、今回のアップデートの目玉をご紹介いたします!   Lightroomで動画編集が可能に! なんと今回、Lightroomのデスクトップ版とモバイル版で、新たに動画編集機能が搭載されました!今までは主に写真の処理と管理を行うアプリでしたが、今回のアップデートでビデオクリップの調整、写真とビデオの間で編集設定のコピー・アンド・ペーストが可能に。プリセットの使用/使用後の調整もできるようになったため、写真と動画で一貫した世界観を実現できるようになりました。 ※対応製品は、MacおよびWindows版のAdobe Lightroom、iOSアプリ、Androidアプリ※iOSアプリ、Androidアプリでの動画編集機能は有料版のものに限ります。   実際に編集してみました まずはこちらの動画をご覧ください。    スマホで撮った何気ない動画もワンタッチで彩られるようになりました!すごいですね! ▼今回使用したプリセットはこちら   操作方法は簡単 今回はモバイル版Lightroomの画面を例にご紹介します。アプリをアップデートすると、写真と同じように読み込んだ動画を編集することが可能になります。 動画を読み込んだ後、画面下部「プリセット」よりお好みのプリセットを選択することで、あっという間に素敵な動画に! お気に入りのプリセットを写真だけでなく動画にも使えるようになると、動画もいろいろ撮ってみたくなりますよね!「本格的な動画編集はまだまだだけど、それでも動画を楽しみたい」という皆さんには、ぜひともオススメしたい機能です。 もちろん写真同様、プリセット適用後に各パラメータの調整も可能です。     その他の機能もアップデート 今回のアップデートでその他の機能も強化されています。ここでは特に便利な機能をご紹介。   プリセット機能が強化 新たにプリセットの適用量をスライダーで調整する機能が実装されました!今まではプリセットを適用した後、個々のパラメータを調整する必要がありましたが、今回のアップデートでその悩みが解消。適用したプリセットの効果が少し強すぎる、あるいは弱すぎると感じた場合、「適用量」を変えることで、自分好みの仕上がりに調整できるようになりました。 ※Lightroom Classic / Lightroomデスクトップ版、Lightroomモバイル版/Web版にて利用可能です。 また、「空を選択」や「被写体を選択」に搭載されたパワフルかつ高度なAIマスク機能をベースに、写真の特定の領域だけを自動的に選択してプリセットを適用できる「アダプティブプリセット」や、「ポートレート:白黒」「ポートレート:エッジ感」「ポートレート:グループ」「被写体:コンサート」「ビデオ:クリエイティブ」の5種類の「プレミアムプリセット」が新たに追加。より直感的に編集を楽しむことができるようになりました。   AIマスクの一括コピーおよびペースト機能 最近実装された「被写体」や「空」を自動で判断し編集できるAIマスク機能。マスクをペーストまたは同期すると「被写体」や「空」のマスクが自動更新されるようになりました! ※Camera Raw、Lightroom Classic / Lightroomデスクトップ版にて利用可能   このように大幅にアップデートされたLightroom。今までより一層写真や動画を楽しむことができそうです!   CURBONでは、多くのLightroomプリセットを販売しています! CURBONは日本で初めてプリセット販売を始めました。現在35種類以上のプリセットをご用意しておりますので、ぜひお好みのプリセットを手に取ってみてください。きっとあなたの写真の世界がより豊かになりますよ。 ▼ プリセットの販売はこちら   【 併せてこちらの記事も 】▼Lightroomをスマホで使う方法と使用上の注意点▼Lightroomモバイルを使用したプリセット登録について   サブスク型のあたらしい写真の学び場「CURBON+」 CURBONは写真が好きな方を中心に、もっと写真が楽しくなる機会を提供しております。2022年1月にローンチした「CURBON+」は、写真教室やe-learningなど、写真に関するノウハウが月額2,980円で楽しみ放題!CURBON+の詳細はこちらからご覧ください。   【ご案内】 こちらの記事に掲載している情報は全て執筆当初の内容です。サービスの提供内容など、随時変更になる可能性があります。Adobe Lightroomの機能等につきましては、最新の情報は公式サイトでご確認ください。
【写真に想い巡らす月 #3 】AKIPIN

【写真に想い巡らす月 #3 】AKIPIN

2022.06.15
  6月1日は「写真の日」。日本で初めて写真が撮影された日です。 CURBONでは、そんな「写真の日」から始まる1ヶ月を、皆さんにとって改めて「写真に想い巡らす月」にしていただきたいと考え、特別な連載をお届けしています。   写真家4名に、「写真への想い」と大切な1枚をご紹介いただきます。 3人目は、「妻のごはん」を中心に日々の暮らしを発信されているAKIPINさんです。     『写真とは。カメラで写真を撮るということとは。』    こんにちは。AKIPINと申します。主に妻のごはんの写真を撮って、SNSに投稿したりして楽しんでいる40代前半の男です。写真とは何か。カメラで写真を撮るということはどういうことか。「写真の日」ということで、あらためてそれをぼくなりの言葉にしてみたいと思います。まず、写真とは何か。それは、「その瞬間の味わいを後からも味わえるもの」だと思う。5年前に撮った、台所で妻が料理している写真。「うーわ、おいしそ!」とそのとき声を上げて喜んでたぼくの興奮と、しごとを時間内にぴったり完了させる戦隊ヒーローのような妻への安心感が、心に立ちのぼる。   3年前にだれかが撮ってくれた、仕事をがんばりすぎて心が倒れる2週間前のぼくの笑顔。その時のしんどさが胸をかすめる。うれしさもしんどさも、自分の人生の大事な気持ちで、ぼくという人間を作ってきた成分で。味わえてよかったと心から思う。写真がなかったら、その味わいを後からこうして味わい直して再確認することも、簡単じゃなかったかもしれない。そんな、写真というものがある世界で。「眼で撮れたらいいのに」って、ときどき思うことがある。専用のコンタクトレンズを付けて、特殊な(でも簡単な)まばたきをすれば無音でスクリーンショットが撮れ、大容量でも保存できるようになったら。娘が急にしたオモロい顔や、妻が庭で採れたラズベリーを急に見せてきた顔も、今みたいに撮り逃さなくてすむ。「その瞬間の味わいを後からも味わえるもの」である写真を、いくらでも残すことができる。でも。そんなふうに撮れるようになったとき、家族を撮るという行為は、平常的な事務作業として埋もれてしまうのだろう。スマホでスクリーンショットを撮ることのように。そして、撮った写真を後で見たときの味わいも、今感じている濃さではないだろう。何より、写真以前に、「いま目の前に現れた瞬間」の味わいが激減してしまうはずだ。(ああ、この光景が消えてほしくない、消えてしまう、忘れたくない)という苦しい味わい。生きるエネルギーに変わる、苦しくて尊い味わいが。そんなことを考えて、改めて「カメラで写真を撮るということ」を思う。いくら進化したといっても、電池を充電しないといけないし、SDカードの容量を空けとかないといけないし、そもそもカメラ自体を所有していて、それなりの近場に保管していて、そのとき手元に引き寄せてきて、構えて、適切な操作をしないといけない。「眼で撮れる」と比べて、なんという手間!でも、この手間がかかってるから、「カメラで写真を撮るということ」自体にも味わいを感じられるのだ。(ああ、後からも味わいたいと感じる瞬間が、今ここにある)という心の揺れを、カメラで写真を撮るという行為にかえることで、「今ここ」その瞬間を全身で味わえているのだと思う。そしてそんな自分の姿は、レンズを向けた相手と、周りの人からも見られることになる。隠し撮りじゃなければ、撮ってる姿はものすごく見えている。それって、レンズを向けた相手に対する大なり小なりの心の揺れを、"公開告白"してるのだと思う。その揺れは相手に伝わり、周りにも知られ、 いろんな感情とともに共有されていく。人と人との理解が深まって、新たな味わいが生まれていく。「写真」が「その瞬間の味わいを後からも味わえるもの」ならば。「カメラで写真を撮るということ」を言葉にするなら、「その瞬間を後からも味わいたいと思った今ここの瞬間自体を味わうこと」だ。なが!自分でも忘れそう!まあ、そんなことを好き勝手に考えたり考えなかったりしながら。それぞれの写真ライフ、楽しんでいきましょう。        PHOTOGRAPHER PROFILE AKIPIN教育機関職員。Instagramをベースに、”妻のごはん”を中心とした暮らしの思いを写真と言葉で表現する。2020年、フォトエッセイ本『日日是好日』(北京联合出版)を中国で出版。Instagram:@akipinnoteTwitter:@akipinnote    【連載記事】 [ #1 ]【写真に想い巡らす月 #1 】川原和之 [ #2 ]【写真に想い巡らす月 #2 】山本勇夢  [ #4 ] 【写真に想い巡らす月 #4 】古性のち   〈「CURBON+」をご存知ですか? 〉 CURBON+とは、サブスク型のあたらしい写真の学び場です。会員登録をしていただくと、写真教室やe-learning動画、トークショーなどが参加・視聴し放題!写真についての知識・技術を多方面から身につけることができます。>> CURBON+ について詳しくみる  
CURBON MEETだからできる“ここだけの話”

CURBON MEETだからできる“ここだけの話”

2022.06.09
アーティストへの質問の場、交流の場として開催している「CURBON MEET(カーボン ミート)」。CURBON MEETでは、CURBONの写真教室で講師として活躍するアーティストを中心に、フォトグラファーやクリエイターをゲストに迎えて行なっています。   6月8日(水)のゲストは、懐かしさと温かみを感じられる日常スナップを得意とするアーティスト・イノウエさん。 今回のCURBON MEETでは、事前に参加者の方からご質問やご相談をお寄せいただき、その内容への回答やアドバイスを中心にお話ししました。   Twitterへのアドバイス 今回のMEETの中で上がった話の一つにTwitterの運用方法があります。 参加者の方から「前回のイノウエさんの教室(2022年3月)を受けて、ツイッターを始めてみました。でもいまいちどう使っていいかわからなくて…」とご質問いただいていました。   イノウエさんからのアドバイスとして、お伝えしたのは「始めたばかりの頃こそ、相手に自分をきちんと伝えることを中心に考えた方がいい」ということ。   実際にご本人のアカウントを見ながら一つずつ丁寧にアドバイス。   お花の写真を中心に掲載されていたSさんに対して、 「お写真とても上手ですね!写真アカウントの人はメディア欄を見にいくことが多いので、テーマを花と決めたら、花を中心に投稿して統一感を出すといいかもしれません」 といった全体的なところから、プロフィール文、投稿の写真の載せ方、投稿文とハッシュタグ、フォロー・フォローバックに関する話など、細分化してコメントしていきます。  Instagramとは運用の方法が異なってくることも話に上がり、どうすれば自分のSNSアカウントを伸ばすことができるのかを、これまでの経験からお話しいただきました。   かなり詳細にご説明いただいたことで、他の参加者さんからも「Twitter、自分もちゃんと運用してみようと思います!」という嬉しいお声も上がるほど。 他の方の相談や質問は、自分にはない視点であることも多いですよね。     日常スナップの視点 前回の教室にもご参加いただいた方からのご質問です。 イノウエさんの写真を見てるとすごく素敵だなと思う反面、「日常生活の中でこの部分がこんなに素敵に見えてるんだなあ。感度が高いんだな」と思うことがたくさんあります(自販機だったり、コンビニの看板だったり…)。どんなものに着目してるのかや、そもそもインプットする中で磨かれているのかなどのお話が聞きたいです。   また、他の方からも「どういった視点で切り取っているのか。撮り方を知りたい」と寄せられていました。   「“撮り方”というと、レンズや技術的な部分と、物に対する感度をどうやって高めるかの2つの話になってくるので、順番にお伝えしますね」とイノウエさん。 「日常写真はどうしても地味なものになりがち。だからこそ、光の使い方と構図が大切です。オールドレンズを使うと、簡単に光の表現ができるのでおすすめですよ」と、普段自分が使っているオールドレンズやおすすめの機材、使い方などをご説明いただきました。   「感度を高めるという話で言うと、映画を見ることと、街の隅々まで見ることが大切だと思っています。どれだけ『見たことあるなあ』で終わらないようにするかを考えていますね」とのこと。 「写真って、見えているものがゴールだとしたら『何を撮ろうかな(What)』『どう撮ろうかな(How)』の2つの要素が組み合わさってできていると考えてます」。 イノウエさんのどこか懐かしさを感じる写真は、こういったところから生まれているのですね。   教室でも簡単にお伝えはしていますが、より深く聞きたいと思ったことを直接聞けるのはMEETならではではないでしょうか。     参加者の方からのご感想 素敵なご感想も頂戴したので、ここで少しご紹介します。 ほがらかな雰囲気のミートで、1時間30分があっという間でした。Twitterを始めたところで、よく分からず放置していた部分も丁寧にアドバイス・ご説明くださってとても助かりました。疑問点が解消して、すっきりしました。さっそく実践してみようと思います!他の方の質疑応答も勉強になることばかりで、とても楽しい時間でした。   講座では聞ききれないような濃い内容がたくさん聞けて、1時間半があっという間でした。SNS運用をはじめ、日常写真のコツや感度の高め方などいろいろな視点からの話が聞けたので、取り入れやすいことから1つずつやっていきたいです。またぜひ開催してください…!   アカウントや作品の見え方と見せ方について、非常に緻密に分析し実践されていることがわかりました。クリエイターは主観を可視化するのが業でありながら、常に他者目線を忘れずに、自分の行動や作品を客観視する姿勢は敬服します。やはりそれだけの数字をお持ちの方だなと思いました。戦略の部分で大変勉強になりました。    いつも目にするのに切り取ってこなかったものを切り取ってみる。とてもシンプルだけど、写真の深さを知るためにはとても勉強になりました!イノウエさんの考え方や視点を知れて、ますますこれからの写真が楽しみです!ありがとうございました!     今後もCURBON MEETは定期的に開催予定です。  写真教室やCURBON MEETへのご参加はサブスク型の写真教室「CURBON+」から。皆さんのご参加をお待ちしています!   ■今回のCURBON MEET ・開催日時:2022年6月8日(水)20:00-21:30・形式:オンラインミート(CURBON+会員限定)   ■今回のゲスト イノウエ▼Twitter▼Instagram 2000年生まれ千葉県出身、大学在学中。 コロナ禍で大学生活の行き詰まりから、写真を始める。「心を動かす、何ともない素敵な日常。」をテーマに撮り続ける。1年半でSNSの総フォロワー数は現在9万人と、人気急上昇中のフォトグラファー。雑誌やメディア掲載から企業とのタイアップなど、若くして活動の幅を広げている。    
【写真に想い巡らす月 #2 】山本勇夢

【写真に想い巡らす月 #2 】山本勇夢

2022.06.08
  6月1日は「写真の日」。日本で初めて写真が撮影された日です。 CURBONでは、そんな「写真の日」から始まる1ヶ月を、皆さんにとって改めて「写真に想い巡らす月」にしていただきたいと考え、特別な連載をお届けしています。   写真家4名に、「写真への想い」と大切な1枚をご紹介いただきます。 2人目は、熊本を拠点に活動される写真家の山本勇夢さんです。     『お守り』    この度、CURBONさんから写真の日に合わせて「写真への想い」を書いてほしいとお話をいただいた。熊本で写真を撮りながら生活している僕に大変嬉しいお声がけだった。しかし、どうしてしまったものか。書けども書けども進まない。提出期限は明日、原稿用紙は真っ白。別に写真が嫌いなわけではない。むしろ好きだ。好きだからこそ写真でご飯を食べている。ただこうやって自分の言葉で表現することが苦手で、だからこそ写真を撮っているのだと思う。昔から文章を書くことは苦手で、唯一、小学生のとき俳句大会で入選したことを今でも覚えているほどだ。そんな調子だから、もちろん日記なんてものも書いたことはない。ただ、いま思えば、日記を書くようなイメージで写真を撮っているのだと思う。日記を遡るのと同じように、数年前の写真を見ては「この時もいいなあ」と思わせてくれる。かっこいいことや上手いことは言えないけれど、写真はそんな自分と同じ歩幅で居続けてくれる。等身大の自分を記録してくれる。それでも、写真だけではなく言葉にしてみたい。と思い書いている。昨日、家の庭の手入れをした。まだ夜の冷たさが残る朝早い時間から昼過ぎまで。もくもくと手入れをした。その庭が今、この机から覗いて見える。花たちは風になびいていて、蝶が2匹飛んできた。悩むこちらとは正反対に、太陽にあたった緑は眩しいくらいに光っている。僕は綺麗だなと思って写真を撮った。撮り始めてしまった。フィルムを巻き上げてシャッターを切る。なんと心地良い動作だろうか。庭先の緑の瑞々しさや、体に残る筋肉痛でさえも記録しておこうと思ったのかもしれない。   目の前に見えているものを残したい、忘れたくない、といういかにも自分勝手で人間的な想いがある。それは少年のようにワクワクする好奇心と、「綺麗だな」「かっこいいな」とか、そんな単純な気持ちだ。それを自分らしく表現できるのが写真だった。僕は自分を表現することが苦手だ。できることなら、自分の想いは自分の中にとどめておきたい。それでも写真なら自分を表現してみたいと思える。自分が見ている世界、信じられるものはこれなんだと、自分自身に確かめる意味も込めて写真を撮る。それは写真が自由でいられるからなんだと思う。写真は撮る人はもちろん見る人も自由で、人それぞれの捉え方ができる。この写真はこう見なければいけないとか、正解はこれだとか。たとえ撮影者がそんな意味を込めたとしても、見る人はそのすべてを汲み取ることはできないと思う。自由な見え方ができるからこそ、撮影者が見た世界とは違う、別の世界を見たり思い出したりすることができる。だからこそ写真は面白くて奥深い。撮る人と見る人、お互いが自由でいられるところが僕には居心地が良くて、それならば写真で表現したいと思った。ただなんとなく「いいな」「綺麗だな」とか。そんな単純な気持ちでさえも表現できる写真が楽しくて、好きで、今も続けている。いいなと思うことは日々少しずつ更新されていくし、価値観も変化していく。当時はなんとも思わなかった写真が時間を経て、じわっときたりする。だからこそ今、この瞬間を写真に記録しておきたい。それがいつか自分自身を救ってくれるから。        PHOTOGRAPHER PROFILE 山本勇夢1995年 熊本県出身、在住。スタジオ・ラボにて写真業務を経験後、2019年に独立。熊本・九州を拠点に、人物や風景、暮らしの記録など様々な撮影を行う。2020年 熊本で個展「ほのめく」を開催。2022年 東京で個展「黒の星」を開催。HP:yamamotoisamu.comInstagram:@isamu__yamamotoTwitter:@Ism23bn    【連載記事】 [ #1 ]【写真に想い巡らす月 #1 】川原和之 [ #3 ]【写真に想い巡らす月 #3 】AKIPIN  [ #4 ] 【写真に想い巡らす月 #4 】古性のち   〈「CURBON+」をご存知ですか? 〉 CURBON+とは、サブスク型のあたらしい写真の学び場です。会員登録をしていただくと、写真教室やe-learning動画、トークショーなどが参加・視聴し放題!写真についての知識・技術を多方面から身につけることができます。>> CURBON+ について詳しくみる  
わたしの推し◯◯ #01 「本」

わたしの推し◯◯ #01 「本」

2022.06.04
  「わたしの推し〇〇」は、0(オ)4(シ)の日として毎月4日に、CURBONメンバーが選ぶ推しのモノをご紹介させていただく企画です。 この企画で、みなさまと新しいモノの出会い、新しい世界とつながるきっかけになれればと思っております!       初回のテーマは「本」です。CURBONメンバーが「わたしの推しブック」を選びました! おすすめする本の種類は文庫本に限らずアートブックなどの作品集を含めたものをご紹介しておりますので、小説とかは少し苦手・・・という方も楽しんでいただける内容になっております! それでは是非ご覧ください^^     蒼井優写真集「ダンデライオン」 蒼井 優 (著), 高橋ヨーコ (写真)   Amazon   カメラマン高橋ヨーコ撮影の蒼井優の写真集。旅行先は極寒のロシア。マネージャーの同行もなく、蒼井優、高橋ヨーコ、タンナイミサ(スタイリスト)の女3人旅が実現しました。シベリア鉄道に乗ったり、現地の家を訪問したり、凍った川の上を歩いたり...シベリアの荘厳な風景の中に切り取られた蒼井優は、透明感と芯の強さをあわせもつ彼女の魅力がダイレクトにあらわれ、息を飲むような美しさをみせています(ちなみに、今作も全ページすっぴんです)。旅の思い出を綴ったデジカメ日記も収録し、ちょっぴり大人になった蒼井優の魅力が最大限に詰まった決定版写真集です。引用:蒼井優写真集 「ダンデライオン」 大型本 – 2007/9/28   ココが好き! 装丁は高級感があり立派な写真集を所持している!という実感を持たせてくれつつ、中のページは手に馴染みの良いめくりやすい紙質で何度も見返したくなります。女性3人だけで旅をしていることによって、もともとナチュラルな蒼井優さんのもっと素の表情だったり立ち振る舞いが写っている、この空気感が飽きなくて好きです。1番のお気に入りは、夜に電車の窓際で突っ伏しながらこちらを見ている写真です。最後あたりに、蒼井優さんの言葉とちょっとした写真の日記もあるのですが、全く背伸びしない文と図がなんとも言えない感じで好き。知らない土地へ旅がしてみたいな、と思わせてくれる一冊です。(CURBONメンバー・K)         「ROCKIN'ON JAPAN 1995年9月号」   Amazon   スピッツのすべて マサムネの世界全解剖、バンド・ヒストリー、完全ディスコグラフィー、新作にして最高傑作「ハチミツ」に先駆け、初の総力巻頭特集!(目次より)全46ページ。引用:ロッキング・オン・ジャパン 1995年 09 月号 [雑誌] – 1999/1/1    ココが好き! 「私が一番見返してる好きな本」で選んだのがこの1冊です。自分が生まれる前に刊行された雑誌。「1995年」が私の中で憧れの時代で、当時の音楽やカルチャーを青春に生きた人がかっこよくて羨ましくもあって。ミュージシャンのインタビュー記事や写真を通して、タイムスリップして少しだけ同じ時代を過ごしてる体感ができるのがお気に入りです。大好きなスピッツが巻頭デビューしたのもこの号で、当時の音楽観や思想が覗けるのも貴重です。その中で『現実も見つめながら、虫の鳴き声とか月の満ち欠けを気にするような__人間は生き物なんだからそんな可愛い人生を生きなきゃね』というインタビューの会話の中でマサムネさんが残した言葉がすごくお気に入りで、いつもお守りみたいに心に留めています。忙しい日々でも自然の移ろいに趣を感じて、小さいものに感動して、そんな可愛い年月を残したいと思ったのも日常で写真を撮るきっかけになりました。(CURBONメンバー・S)         「今石洋之の世界」 今石洋之   TRIGGER   アニメーターであり、演出家であり、監督である今石洋之の初の展覧会『今石洋之の世界』を凝縮した、『今石洋之の世界展 公式図録』がいよいよ発売! 国内外の多くのファンに鮮烈な印象を与えてきた氏の四半世紀に渡るこれまでの仕事を振り返り、その創作活動の原動力は何なのか、作品を通して伝えたいメッセージは何なのか、今石洋之とは一体何なのか、類い稀なる人物像に迫り紐解く一冊となっています。引用:今石洋之の世界展 公式図録    ココが好き! 好きなアニメーターさんの画集|設定資料|絵コンテ集です。僕自身が設定を色々考えて写真や作品をつくったりすることが好きなので、他人の制作資料ってすごく読むの面白い。実際に世に出たイラストなどよりも、明らかに設定資料などの方が情報量が多いところに熱を感じる。アイディア出しの時のボツ案もたくさん描いてあって、「実はこの作品はあっちの作品のボツ案から生まれた」みたいなことがわかるとロマンを感じる。特に、まったく世に出ないような細か〜〜〜いところまで設定としては書き込まれているところに感動しました。「主人公は最終的にはこういう夢を実はもっている(全く本編で語られない)から、この場面ではこういう選択をするんじゃないか」という、逆算指標になるらしい。こういう情熱的なものづくりに憧れています。(CURBONメンバー・S)         「ダカフェ日記」 森友治   Amazon   幸福感あふれる大人気ブログが写真集に!夫婦ふたり、子どもふたりと犬一匹。どこにでもあるような家族の日常に起こる、小さな幸せの瞬間を楽しい&美しい写真と文で綴っている大人気ブログが写真集になりました。幸せな気分になれる一冊!引用:ダカフェ日記 大型本 – 2007/7/5   ココが好き! ダカフェ日記を最初に知ったのはブログでした。奥様と、2人の子ども達と、そしてワンちゃん達と。その様子をほんの少しだけ引いた、でも間違いなく優しくあたたかな眼差しで撮影された写真たち。ぜんぶの写真にユーモア溢れるクスッと笑える一言が添えられています。森家の写真はいつだって、おうちの中か近所の公園やさんぽ道。その気取らなさが、何気ない日常こそに残したい大切な瞬間は溢れているのだということを教えてくれます。続編も含めた3冊を通したそれぞれの成長を、まるで家族の一員かのように感じる事ができる。そんなぬくもりがあり、アルバムのように定期的に見返したくなる写真集です。(CURBONメンバー・K)       「ハルとミナ」 濱田英明   Amazon   「彼らを撮影していると、ふと幼い頃の自分かのような錯覚が起こることがある。それは、まるで僕自身がふたたび人生を生き直しているさまを間近で眺めているような不思議な感覚だった。」――『ハルとミナ Haru and Mina』は、2人の子どもたちが生まれてから写真を撮り続ける濱田英明による日本で初めての写真集です。ここには、何でもない日々を生きる、ありのままの彼らの姿が収められています。引用:ハルとミナ 単行本 – 2014/10/5    ココが好き! 同じ2児の父として、こんな写真を残せたらと、強く思います。子ども達と一緒に過ごした場所や空気感、匂い、音、その全てがありのまま思い出せるようなお写真達で、その撮影過程も、それを奥さんや家族で見返すプロセスも含めて、こちらが勝手に想像し、共感を覚える本です。手が届きそうで届かない距離感で撮影されている写真達からは、子どもの危なっかしさについつい手や口を出したくなる感情を、成長のために見守る親の姿勢みたいなものが想像され、自らの生活に置き換えて考えさせられます。いつかの日か登場するお子さん達が、「こんな瞬間を切り取れるほど、自分たちのことを見てくれていたんだな。」と写真を通して感じる日が来るであろうことを想像すると、良質な映画を見たような気分になりますし、やっぱり写真って良いなと思います。(CURBONメンバー・K)       「東京」 中野 正貴   Amazon   変貌を続ける世界都市「東京」。2020年オリンピックの舞台となるこの大都市を、鋭い感性と巧みな空間把握で30年余にわたり撮影し続ける中野正貴は、誰もいない東京の姿を写した『TOKYO NOBODY』、ビルや民家の窓から垣間見たシュールな『東京窓景』、川を漂い水上を浮遊する都市像を捉えた『TOKYO FLOAT』などを発表し話題となります。本書は“東京三部作”といわれる代表作と、それらを発展させた新作・未発表作や本書用に編成された意欲作「TOKYO TOWER」を含む集大成写真集。8×10など大型カメラで巨大都市の変わりゆく表情を独自の視点でとらえた「東京」をご覧いただけます。引用:東京 単行本 – 2019/11/10   ココが好き! 写真を初めて、最初に写真を撮りにいきたいと思った地元以外の場所が東京でした。そんな人は案外多いかもしれません。東京といえば、東京タワーが見える景色や、銀座の歩行者天国、渋谷のスクランブル交差点などそんな情景を思い浮かべる人が多いのかもしれませんが、この写真集は、これも東京、これが東京、もしかすると誰も知らない東京が映し出されているのではないかと思えるものでした。僕の想像していた東京は、東京であれど、誰かが作った東京っぽさのある、違った何かかもしれない、そんな事を考えながら、何度も見返したくなるすごく魅力のある一冊だと感じています。(CURBONメンバー・O)       「グッドサイド」 奥山由之   蔦屋書店   雑誌"SWITCH"2019.Vol37では写真家"奥山由之"特集が組まれ、特集内では平野紗季子氏との新婚旅行がコンタクトシートで公開されました。本作はその新婚旅行時に撮影された写真で構成されています。フランスのEditions Bessardから出版され、国内の流通数は限られています。表紙はブルーとピンクの2種類ですべてにサイン入りのタイプCプリントが付属しています。引用:The Good Side (BLUE) 奥山由之 写真集   ココが好き! 奥山由之さんご夫婦の新婚旅行がテーマの写真集です。プライベートな写真は「思い出」になりやすいですが、この写真集はオランダのデザイナーに構成をお願いしていることで「写真集」として成り立っているところがポイント。奥山さんご自身も「不確かなもの」をテーマに据えていると話しており、新鮮な一冊となっています。プライベートなテーマにも関わらずアート性を感じ、それでいてあたたかい印象を受けるこの写真集は、たびたび読みたくなるお気に入り。写真集内にはコンタクトシートも含まれており、読んで楽しめるだけでなく学びのあるところも好きなポイントです。(CURBONメンバー・S)       「軍艦島 全景」 Oproject   三才ブックス   廃墟と化した海上炭鉱都市・軍艦島の姿を克明に記録した史上初のオールカラー軍艦島ビジュアル書籍!1974年の閉山後、廃墟と化した海上炭鉱都市・軍艦島。鉄筋コンクリート建築の耐用年数を遥かに越えて残存する巨大なアパート群をはじめ、謎に包まれた鉱業所エリア、崩落の危機に瀕する地下施設など、圧倒的な存在感を放つ建築群で埋め尽くされた島内は、まさに「廃墟の聖地」です。その衝撃的な姿を、現在の画像を中心に過去の写真も織り交ぜて徹底紹介! 軍艦島の全貌がここに明らかになります。引用:軍艦島 全景    ココが好き! 思えば私の写真の原点です。九州生まれですが、学生の私には「端島」通称「軍艦島」という存在事態を知らなかったのですが、学生の頃に市の図書館でこの本と出会いました。中の写真は人が映ってないのに、人が生活を営んでいた音が聞こえてくるような気がします。廃墟は基本的に管理もされず、経年劣化でさらに形がなくなっていきますが、カメラで捉えたその写真は、朽ちずに残っていくんだとハッとしました。そんな軍艦島だけの魅力がぎっしり詰まったこの本は大人になって買った時に言葉では何とも言い表せない気持ちになりました。(CURBONメンバー・M)       「男鹿和雄画集Ⅱ」 男鹿和雄  Amazon   スタジオジブリ作品を支えたアニメーション美術監督・男鹿和雄による待望の画集、第二弾!本書には、美術監督を務めた「もののけ姫」「平成狸合戦ぽんぽこ」を中心に「耳をすませば」「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」などの背景画、美術ボード、美術設定などを多数収録。同じくスタジオジブリで美術監督を務めた田中直哉との対談や、本書カバーイラストのメイキングなどを元に、アニメーション背景美術がいかにして描かれたのかを詳細にひもといた画集であり、「技法」と「表現」に迫った、類を見ない技法書。次世代に伝えたい貴重な一冊となっている。引用:男鹿和雄画集II (ジブリTHE ARTシリーズ) 大型本 – 2005/9/22   ココが好き! ジブリ映画の背景を長年描いてきた男鹿和雄さんの画集。私が中学1年生のときに家族で『男鹿和雄展』に立ち寄り、帰り際にお父さんが購入したものです。展示品を見たとき、「こんな細かい絵、人が描けるの!?」と感銘を受けて、家に帰っても画集をずっと眺めていたことを覚えています。そこから12年、この画集のことも展示会のことも忘れていたのですが、昨年ふと思い出し「昔行ったジブリ展示会もう1回行きたいな」と思っていたら、帰省時、何も言っていないのに「そういやお前、これいるか?」とお父さんがこの画集をくれました。たまたま12年越しに思い出し、そのタイミングで私の元に来たことも考えると、この画集とは運命的なものも感じます。癒されたいとき、疲れたとき、たまに見て感銘を受けては「私も頑張ろう」と思っています。(CURBONメンバー・S)       「眺め」 みなはむ  コ本や-web shop   「日々」に続く、男子2人の日常シーンを描いたもの。 一緒に旅して、海を眺めたり、土地のおいしいもの食べたり夜コンビニに行ってみたり…何げないけど、表情や仕草が愛しくなる瞬間を捉えたような捉えたイラストを21作品を収録しています。引用:みなはむ「眺め」   ココが好き! 大学時代に出会ってから漫画と絵画の中間のような表現に惹かれ、ずっと追いかけている絵描きさんの画集です。この画集は、男の子ふたりが旅行に行くシーンを描いたイラストが掲載されています。夜の海の暗さや日常シーンの中に潜む美しさが描かれていて、仲の良い友達や恋人と一緒にいる時のような安心感があります。寝る前に部屋に一人で篭って読むのが好きです。(CURBONメンバー・I)       いかがでしたでしょうか? CURBONメンバーがお気に入りの一冊を推しポイントとともに、ご紹介いたしました!気になる本などありましたら、ぜひ見てみてくださいね! 次回もお楽しみに〜!   おすすめ記事   わたしの推し◯◯ #02「音楽アーティスト」    〈「CURBON+」をご存知ですか? 〉 CURBON+とは、サブスク型のあたらしい写真の学び場です。会員登録をしていただくと、写真教室やe-learning動画、トークショーなどが参加・視聴し放題!写真についての知識・技術を多方面から身につけることができます。>> CURBON+ について詳しくみる  
【写真に想い巡らす月 #1 】川原和之

【写真に想い巡らす月 #1 】川原和之

2022.06.01
  6月1日は「写真の日」。日本で初めて写真が撮影された日です。 CURBONでは、そんな「写真の日」から始まる1ヶ月を、皆さんにとって改めて「写真に想い巡らす月」にしていただきたいと考え、特別連載をスタート!   写真家4名に、「写真への想い」と大切な1枚をご紹介いただきます。 1人目は、あたたかな視点で家族を撮影する川原和之さんです。     『寄り添う指が紡ぐ時間の記憶』    祖母と娘の手を見つめていた。 手というのはいろんな仕事をするから、その人の歴史は手に現れる。 内職の針仕事を長年続けてきた祖母の親指は少し変形し、毎日畑仕事を続けてきた手は、血管が浮き出て、赤黒く日焼けしていて、爪の間には土が残っている。働き者のしわだらけの手。 僕の記憶のはじまりを意識的に遡ってみても、しわだらけの祖母の手の画像しか浮かび上がってこない。僕が娘の歳ぐらいのときは、祖母は50歳過ぎだったわけで、おそらくしわしわの手ではなかったと思うのだけれど、祖母の手を思い浮かべるとしわしわの手しかイメージできないのは不思議なものだ。 僕が大学を卒業する頃まで、祖母は浴衣などの着物を縫う内職をしていた。昼間は畑仕事、夜は和裁の内職をするのが常だった。和裁の仕事をする部屋はミシンの灯りだけが灯っていて、部屋には色とりどりの生地が散乱し、その足元に当時飼っていた犬が寝ていた。毎日徹夜して働いて1番多くもらった給料の明細書を大事にしまっていて、「あんたより稼いどるやろ?」と笑った祖母の顔が懐かしい。 今では和裁の仕事はやめてしまったため、その内職をしていた部屋には大きな足踏みミシンはなく、祖母の足元に寝ていた犬もいない。畳の部屋に似つかわしくないロココ調のソファーに座ってぼんやりと大音量でTV見ている祖母がいる。 9歳の娘と一緒に祖母が住む実家を訪ねたときのこと。娘がひとりでポータブルゲームに興じているのを祖母が見ていると、突然あやとりをやろうと提案し、祖母は内職をしていた部屋から赤い毛糸を持ってきた。 あやとりをした事がなかった娘は、祖母にあやとりのとり方を教えてもらいながら、2人あやとりが始まった。 「これが川で、こうすると田んぼになって、こんな風にすると舟になる」と説明する祖母。 はじめはぎごちなかった娘の手つきも5分ほど経つと慣れてきて、手際よく祖母の手からあやとりをとれるようになっていった。     「ひいばあちゃんは子供の時こんな遊びしていたの?」 「あぁ、そうだよ。何もない時代だったからね。」 「へぇー、ひいばあちゃんが子どもの時を想像できないや。」 こんな会話を聞きながら、僕はこの写真を撮った。 祖母が娘に何かを伝え、教えてくれる時間は、僕が1番写真に残そうと思うときだ。この瞬間を撮ることを何より大切にして、今まで10年以上撮り続けてきた。 カメラを構えて、フォーカスを合わせ、シャッターを切り、フィルムに光を投射する、そのわずかな時間。 僕は、祖母と娘の寄り添いあった手がなんだか花みたいだなと思った。ただそんな風に思った。 しばらくして現像した写真を手に取ると、写真の中の2人のあやとりは未完成なままであることに気づいた。 撮っていたのは2人があやとりを作り上げる途中経過であったことがわかると、それはそれでよかったように感じた。途中だからこそ、この先を想像することができるからだ。 どんな近い未来でも、どんな小さな未来であっても、その先に続きがあることに僕は希望を感じる。 写真は残酷なまでに「今」しか写せない。 でも、そんな写真を見ながら、過去や未来を想うことができるのが写真の力だと思う。 大切な人の「今」を撮りにいこう。小さな未来に希望を託しながら。        PHOTOGRAPHER PROFILE 川原 和之1983年生まれ、富山県在住。祖父母の写真を撮り始めたことをきっかけに独学で写真を学び、現在も世代を超えた家族の関係性をテーマとした写真作品を制作している。Instagram:@kazuyukikawaharaTwitter:@kazkawahara    【連載記事】 [ #2 ]【写真に想い巡らす月 #2 】山本勇夢 [ #3 ]【写真に想い巡らす月 #3 】AKIPIN  [ #4 ] 【写真に想い巡らす月 #4 】古性のち    〈「CURBON+」をご存知ですか? 〉 CURBON+とは、サブスク型のあたらしい写真の学び場です。会員登録をしていただくと、写真教室やe-learning動画、トークショーなどが参加・視聴し放題!写真についての知識・技術を多方面から身につけることができます。>> CURBON+ について詳しくみる